歯並びと呼吸

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ほこりや細菌などを防ぐ鼻呼吸

 あなたは鼻から空気を吸い込み、そして吐いていますか。それとも口からですか。鼻の方は鼻呼吸、口の方は口呼吸をしていることになります。
 普段はあまり意識していないことなので、鼻か口かはわからないという方もおいでになるでしょうし、そのことに違いはあるの?と疑問を感じる方もおいでになるでしょう。意外なことかもしれませんが、口呼吸は健康によくありません。

 鼻ごみの正体は、鼻水とほこりです。ほこりやたばこの煙が多ければ、それが鼻水に混じり黒っぽくなります。空気に含まれたほこりなどは、鼻腔内の粘膜や鼻毛に付着され、肺に侵入することを防ぐ仕組みになっているのです。また、細菌やウイルスの侵入も防いでいます。風邪をひいたとき、鼻水や鼻ごみが黄色くなるのは、細菌やウイルスと白血球が戦った後の死骸が含まれているからです。
 さらに、冬の乾燥した冷たい空気は鼻腔内を通過することで、暖かく湿り気をもたらします。これによって喉や肺への刺激は軽減され、呼吸がスムーズになるわけです。
 つまり、鼻呼吸は“フィルター”を通して呼吸をしていることになります。

歯の矯正で口呼吸から鼻呼吸へ

 一方、口呼吸には“フィルター”がありません。ほこりや細菌などがどんどん肺や体内に侵入してしまいます。乾燥した冷たい空気が喉に直接あたりますから、粘膜の機能が低下して風邪をひきやすくなるのです。

 実は、歯並びが悪いと、口呼吸になることもあります。特に、上の前歯が前に出ている上顎前突や下の前歯が前に出ている下顎前突の場合、どうしても口が閉じづらく、常に口が開いている状態となり、自然と口呼吸になるのです。
 それだけではありません。いつも口を開けているように思われ、間が抜けた印象をまわりに与えてしまいます。
 上顎前突や下顎前突は歯を矯正することで十分に治療可能です。正しい噛み合わせになると、口呼吸から鼻呼吸に変わっていきます。
実際に、歯の矯正治療をした患者さまが「呼吸がすごく楽になった」とお話されることがあります。想像以上に、口呼吸をしていると体に負担がかかるようです。
 喉が乾燥する方、風邪をひきやすい方、口呼吸になっていませんか。そして、歯並びは大丈夫ですか。