歯の矯正治療は、ワイヤーやブラケット、マウスピースなどの矯正装置を使用して歯を移動させることで歯並びや噛み合わせを改善させます。時間をかけて徐々に歯を移動させるわけですから、矯正を止めてしまうと、元の位置に戻ってしまいかねません。事実、歯の矯正治療についてそのようなネガティブな噂を流す人もいます。
では、本当に元に戻らないのかといえば、残念ながら戻ることはあります。
歯科医師の技量不足の場合
原因はいくつかありますが、そのひとつが歯科医師の技量の問題です。
歯の矯正治療を行なうとき、歯科医師は患者さんの歯並びや噛み合わせの悪さの原因を的確に把握しなければなりません。それがわかれば、今後の歯の成長具合も予測できます。もし、予測ができないと、予定している最良の位置に歯を移動させることはできないばかりか、元に戻ってしまう原因となるのです。
歯科医師が歯の矯正治療の専門医であることと、正しい知識を学んでいることも治療を受ける際の条件となります。
患者さんの協力も不可欠
歯の矯正治療は、歯科医師と患者さんの共同作業といっても過言ではありません。患者さんは歯科医師の指示を正しく守る必要があります。矯正装置の使用を間違ったり、怠ったり、壊れた状態のまま使い続けたりすると、十分な効果は得られません。
避けられない不可抗力
歯の矯正治療にかかわらず、すべての事例でパーフェクトな治療結果を実現させることはできません。たとえ、とても優秀な歯科医師が適切かつ完璧な処置を施したとしても、不可抗力的に歯が元の位置に戻ってしまうことはあるのです。
個人差がありますが、歯が元の位置に戻りやすい状態があります。それでも経験豊富な歯科医師ならば、そのようなことは十分承知しているでしょう。優秀な歯科医師や医師は、患者さんに向かって「必ず治ります」とは言いません。優秀な歯科医師ならば、患者さんの歯の状態を診て、治療の成功率やリスクを事前にちゃんと説明してくれるはずです。患者さんにもそれらの点を歯科医師に確認することをお勧めします。
もし、治療が思うように行かなかったときは、歯科医師に納得いく説明を要求してください。歯科医師にはアカウンタビリティー(説明責任)があります。説明に満足できなければ、他の歯科医師にセカンドオピニオンを求めてもいいでしょう。