人間はここぞ、という場面で歯を食いしばり、集中力や底力を発揮することがあります。
ただ、その「食いしばり」や「歯ぎしり」が慢性化すると、歯やあごに負担がかかり、歯並びにも悪影響が出る場合があります。
その他にも、あごの筋肉が発達しすぎて顔が大きく見えるといったデメリットもあるのです。
小顔は若い女性の憧れ?
その昔の映画スター、中でも、時代劇のスターといえば、びっくりするほどの大きな顔でした。私も以前、街である男性アイドルを見かけたのですが、その顔のあまりの小ささに驚いたことがあります。
美人の条件はさまざまありますが、小顔もそのひとつのようです。大きな顔やエラで悩む女性は少なくありません。女性雑誌では、小顔に見えるメイク法や髪型の特集を組んでいますが、それでは満足が得られず、ついには美容整形に走る人もいます。
ハードルが下がる美容整形
美容整形で小顔にする方法には2種類あります。エラの正体が骨である場合、それを手術によって削ります。もうひとつは、筋肉が発達してエラになっている場合、通称・小顔注射をして、筋肉の働きを抑えることによってエラを小さくするのです。
また、相対的にエラを小さく見せるために、頬や下あごの脂肪を取る通称・輪郭注射をすることもあります。
いずれにしても、たいへんな“大工事”を覚悟しなければなりません。
ある女芸人さんの変貌
テレビのバラエティー番組では多くの女芸人さんが活躍するようになりました。その先駆け的な存在のある女芸人さんは、もう20年以上、テレビに出続けています。最初のころはエラがとても印象的でした。しかし最近では、それほどエラが目立たなくなっているのです。
女性といえども、芸人さんですから、美容整形をするとは思えません。私はある推理をしました。
それは何かといえば、この女芸人さんは食いしばりがあって、それを改善したのではないかということです。寝ている間、知らず知らずに歯を食いしばっている人がいます。毎晩のことですから、自然と奥歯のまわりにある咬筋が鍛えられます。筋肉が付いて、それがエラになってしまうのです。それだけではなく、歯の食いしばりは、頭痛や肩こり、耳鳴り、目の奥の痛みなどを引き起こしかねません。また、歯や顎への負担も大きく、歯周病や顎関節症などの原因にもなります。
食いしばりの改善に効果的な治療法がマウスピースの使用です。歯の食いしばりが改善されれば、咬筋も小さくなり、エラも解消されます。
私の推理は当たっていました。その女芸人さんは、テレビ番組で“整形疑惑”を指摘されたとき、歯科医院でマウスピースを作ってもらい、それで歯の食いしばりを治したと笑いながら告白していました。
矯正に携わる人間から見ても「食いしばり」は悪です。歯に知らず知らずのうちに余計な力がかかり、かみ合わせが悪化して不正咬合に結びつきます。「食いしばり」に心当たりがある方、かみ合わせが気になる方は、口腔外科やかみ合わせに精通している歯科医へ相談するといいでしょう。