目立たないマウスピース矯正

もうひとつの見えない矯正治療

 歯の矯正治療は、ブラケットとワイヤーからなる矯正装置を歯に装着して行ないます。一般的には歯の表側に矯正装置を装着するため、どうしても目立ってしまうという欠点がありました。その欠点を解決するべく登場したのが、歯の裏側に矯正装置を着ける裏側矯正です。
 裏側矯正は欧米では普及していますが、日本ではまだまだ扱う歯科が少なく、患者さんにもようやく周知されてきた所です。

 裏側矯正と並び、新しい矯正方法がもうひとつあります。それが透明なマウスピースによる矯正治療です。

マウスピースによる矯正治療

 みなさんは「マウスピース」をご存知でしょうか。ボクシングを見ていると、口の中に何かを入れて打ち合いをしていることがわかります。それがマウスピースです。マウスピースは歯のカバーの役割をしており、歯に着けることで歯が折れないように、また歯が口の中を傷つけないように防いでいます。

 マウスピースを選手が使っているスポーツはボクシングだけではありません。ラグビーやアメリカンフットボール、アイスホッケーなど、いわば格闘技のような激しいスポーツによく用いられています。

さまざまなマウスピース

 このようなマウスピースを用いて矯正治療を行うのが「マウスピース矯正」です。
 ちなみに、歯科ではマウスピースのことを、アライナーやバイトプレート、マウスガード(ナイトガード)、スプリントなどと呼んでいます。マウスガードは歯ぎしりに、スプリントやバイトプレーナーは顎関節症に、そしてアライナーは一般の矯正に用いられるマウスピースの呼び名として使われていいます。
「マウスピース」と言われてもあまり馴染みは無いかもしれませんが、かみ合わせや歯ぎしり対策などには以前から使われていました。

透明なマウスピースを使用

 一方で、マウスピースが本格的に矯正治療に使用されるようになったのはごく最近です。

 矯正治療に使用するマウスピースは日中も装着するものですので、透明で薄いプラスチックが使用されます。欧米ではこうしたマウスピースを製作する企業がいち早く登場し、ドクターの治療をサポートするような独自のアプリケーションを開発し、マウスピースの製作だけでなく治療フローの改善などに取り組んでいる会社もあります。
その中でも「インビザライン」は近年日本でもその名が知られ、採用する矯正歯科も増えてきているマウスピースです。

 先ほども触れましたが、インビザラインによる矯正治療は透明のマウスピースを用います。しかも、薄く作られており、装着しても目立ちません。見えないという点で裏側矯正と同じ効果があるのです。これまで世界90カ国以上、340万人を超える人たちがこの治療を受けていると聞くと、ややもすると出遅れた感じがする日本ですが、これからは矯正治療のいち選択肢としてもっと受け入れらていくとおもいます。