痛くない歯科治療へのチャレンジ

歯医者さんが苦手な理由

 「歯がシクシクと痛い…」
 あなたならどうしますか。おそらくまずは市販の痛み止めを飲む方が多いのではないでしょうか。それで痛みが治まるときはいいのですが、もし、それでも痛みが続けばどうでしょうか。

 仕方がないから歯医者さんに行くかということになるのでは?

 忙しい毎日を送っている方にとっては、歯医者さんに行く時間も惜しいのかもしれませんが、多くの方はやはり「あの理由」から歯医者さんに行くことを躊躇うのではないでしょうか。

 インターネットサイトの「ランキングシェア」によると、「歯医者さんに行きたくない理由」の第1位は「とにかく怖い!!」、2位は「あのキュイーン!が怖い」、3位は「深~い穴に時々ピリリッ!」といいます。1位も2位も「怖い」とあり、3位は「ピリリッ」というわけですが、これらはすべて治療を受けるときの「痛さ」が「怖い」のであり、「ピリリッ」なのです。つまり、患者さまを歯科医院から遠ざけている最大の理由は、やはり治療における痛みなのだと思います。

痛くない治療

 当たり前のことですが、口の中、歯の中にも神経が通っていますから、それに触れるような場合、痛みを感じます。虫歯の治療では、その神経を抜くことも珍しくありません。そこで麻酔を用いるわけですが、この麻酔の注射自体が痛く、これを嫌がる患者さまもいます。

 痛くない治療はできないのでしょうか。

 実のところ、近年「痛くない治療」を心がけているドクターや歯科医院は増えており、「痛くない」「怖くない」工夫は幾つかの段階で導入されています。
 例えば、麻酔を打つ段階では一般の医療で用いるシール状の麻酔薬を細かく切って、麻酔注射を打つ場所に貼ります。これによって痛みを感じることなく麻酔注射を打つことができます。また、口の中には比較的痛点の少ない場所があり、そこを狙って注射を打つように工夫しているドクターもいるのです。
 また、痛みは麻酔によってシャットアウトすることができますが、治療中の振動や機械の音などにストレスを覚える患者さまもいます。そうした歯科治療に対する「怖さ」を取り除くため、「笑気ガス」の吸引を導入している歯科もあります。笑気ガスを用いた無痛治療では、酸素に笑気(亜酸化窒素)を適量分混ぜ、治療中に吸入します。笑気ガスは無臭ですし、一般的に使用する麻酔薬とくらべて、メリットも多く、安全なガスですので、お子さまの治療にも使用できます。

 「歯科治療にある程度の痛みはつきものだ」とドクターが考えていると、「少々の痛みくらいは我慢しなさい」となりかねません。歯科治療に痛みを伴うか否かは、ドクターの技術もさることながら、ドクターの痛みに対する姿勢も大きく左右しているのです。あるドクターは、「痛みのない治療を心がけることもホスピタリティーのひとつ」と話しました。

 ドクターや歯科医院を選ぶ際の目安として、痛みに配慮しているかどうかという点も加えておいてはいかがでしょうか。ちなみに、痛くない治療をしたとしても、治療効果が下がるわけでは決してありません。