歯の矯正治療費の賢い支払い方

保険が適用されない治療

 「歯の矯正治療はお金がかかる」というイメージがあります。それは多くの矯正治療が一部の例外を除き健康保険の適用外となる自由診療だからです。ご存じのとおり、自由診療の場合、治療に必要な医療費の全額を患者さまが負担しなければなりません。その分、支払う額も高くなってしまいます。

 また、歯科の場合、治療に使用する被せ物や詰め物などの材質によって、保険が適用できるか否かが決まっていますから、高額な材質を使えば自然と治療費が高くなるのはやむを得ません。歯の矯正治療は一定の期間をかけて行ないますから、それも合計費用が高額になる理由です。

料金体系を確認する

 歯の矯正治療にはクリニックによって大きく分けて2つ料金体系があります。

 矯正治療では定期的に通院をしていただき、ワイヤーの調整をしなければなりません。矯正治療の基本料金に加えて、この毎回の診察料をその都度お支払いいただくのが一つの形式です。通院ごとに支払うので、治療が長期化した場合にはそれだけ費用がかさみますが、一回一回の負担は少なくなります。

 もうひとつは、全行程の費用をまとめてお支払いいただく方式です。一度にまとめてお支払いいただくので、矯正治療の期間に関わらず値段は一定で、料金の中に治療に必要なすべての費用を含めているクリニックが多く見られます。

 どちらにしても、矯正治療が高いことに変わりはありませんが、矯正治療を開始する前には、そのクリニックの料金体系や追加料金のある・なし、矯正治療が長引いた場合などの費用変更について詳しく理解することをお勧めします。

支払い方法にも注目

 矯正歯科クリニックでは、一括払いの他、大抵の場合ローンやクレジット会社との契約による分割払いができますし、各種カードの利用ができるクリニックもあります。治療方針や治療内容と同様に、支払い方法を確認しておくこともとても大切です。

 ローンなどの分割払いでは月々の負担を減らすことができますが、利子によってトータルの金額が膨らむこともあるので、分割回数を考えることが必要です。また、一括払いの方へ割引を行ったり、利子のないクリニック独自の分割払いを用意している医院もありますので、無理のない範囲で支払い方法を考えていくといいでしょう。

医療費控除は使える?

 最後に医療費控除について述べておきましょう。医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に10万円以上の医療費を支払った場合、その一部が還付されると共に、所得税が減税されるシステムです。

 歯の矯正治療にこの制度を使えないと考える方がいますが、審美目的ではなく、かみ合わせの機能面を重視した治療ならば、医療費控除が受けられることもあります。一般的に大人の場合、咀嚼改善など機能回復が主な目的である矯正費用であれば、治療のための通院費(自家用車のガソリン代や駐車場料金は控除対象外)も含め控除の対象となります。

 説明や診断書を求められる場合もありますので、控除の利用を考えている方はクリニックへ相談してみてください。

 歯の矯正治療は決して安い料金でできるものではありません、費用面の負担はできるだけ減らしたいものですよね。ただし、治療は患者さまの健康や将来にかかわるものです。賢い支払い方法を模索しながらも、治療内容の妥協はしないようにしたいですね。