痛みには個人差がある
歯を指で押さえてみてください。指に力を入れると、少し痛みを感じるはずです。歯の矯正治療は歯に圧をかけて徐々に動かすわけですから、麻酔が必要なほどの激痛は起こらないものの、痛みは感じます。
ただし、痛みには個人差があります。このようなタイプの人は痛みを感じやすいという目安はありませんが、年齢による差や男女による差もあるようです。高齢の人は、若い人、特にお子さんなどと比べると、痛みを訴えることが多いように思います。
しかし、「痛くて痛くて耐えられない」というほどのものではありません。痛みで眠れない、我慢できないなどといったこともありませんし、矯正治療をしている間、ずっと痛みが続くわけでもありません。永久歯が生えたばかりの子どもでも歯の矯正治療をしているわけですから、治療に伴う痛みはそれほど心配することはないでしょう。
痛みの発生は装置を装着して数日
一般的な歯の矯正治療では、矯正装置を用います。痛みが出るのは、矯正装置を装着して数日の間です。そのうちその状態に慣れてくるので、痛みは治まってきます。
ただし、歯の矯正治療は、歯が少し動けば、また新たに調整した矯正装置を装着しますから、そのたびに痛みを感じることになるでしょう。一般的には、治療のインターバルは1ヵ月程度です。1ヵ月ごとに痛むことになりますが、これを繰り返すうちに痛みは減っていきます。治療を始めたころは僅かな痛みがあることを知っておいてください。
歯の浮いたような痛み
痛みの種類も個人差があります。しかし、虫歯が進行したときに、冷たいものや熱いもの、甘いものなどの刺激によって感じるような痛みではありません。患者さんの感想でよく聞くのが、歯の浮いたような痛みです。ですから、食べ物を噛むときにどうしても鈍い痛みを感じるといいます。中には、上下の歯が当たっただけでも痛むという人もいます。
よって、歯の矯正治療を始めたころは、硬い食べものは控えたほうがいいでしょう。食べ物は、軟らかいものか、細かく切ったものを選ぶようにします。
ただし、痛みに耐えられず、歯の矯正治療をしている期間中に治療を断念するという人はこれまでほとんどいませんでした。鎮痛剤を服用してまで治療を続けるといった例も私には経験がありません。