日本の矯正歯科は平均60点
日本でも歯の矯正をする人が増えてきました。それに呼応するかのように、矯正治療を行なう歯科医院も増えています。しかし、その仕上がり状態、つまり技術レベルについては疑問を感じざるを得ません。
リーディングカンパニーであるアメリカから比べれば、まだまだなのです。点数をつけるなら60点というところでしょうか。もちろん、これは平均点です。数は少ないものの、100点の仕事をするところはあります。
その理由は何でしょうか。
理由はいくつかありますが、今回は患者さまの置かれている状況について解説します。
いい観客がいいアーチストを育てる
ビートルズが来日したのは1966年のことです。それ以来、マイケル・ジャクソンやローリングストーンズなど、名だたるアーチストが日本でコンサートを開きました。しかし以前は、明らかに手を抜いているアーチストもいたといいます。
それでも日本の観衆は文句も言わず、コンサートを楽しんでいました。なぜかといえば、まだまだロックやジャズが日本には定着しなかったうえに、今のようにライブの模様をDVDなどで手軽に見ることができませんでした。彼らのベストパフォーマンスを知らなかったのです。100点の状態を知らないのですから、今、目の前で行なわれている歌や演奏がいったい何点くらいかがわからないのも当然といえるでしょう。
最近では、このようなことは減ってきたようです。日本人のアーチストも世界的レベルになってきました。これもファンの見る目が肥えてきたからです。
本物の矯正歯科を伝える努力を
日本の矯正歯科のレベルが60点というのも、患者さまが100点の治療を知らないということに原因のひとつがあります。だから、専門医から見ると、とても満点とはいえない治療結果であっても、患者さまは疑問を感じることなく、満足しているわけです。
歯の矯正をする人の数と理解度は残念ながら比例していません。ただし、患者さまだけに責任を委ねるわけにはいきません。患者さまの理解がまだ低いからといって、手抜きはもちろんのこと、不十分なまま治療を終えるようなことがあってはいけないのです。とはいうものの、治療が不十分であるということを判断できない歯科医がいることも否めません。
そして、我々も「本当の矯正歯科」を伝える努力をしていくことが重要です。