怖い歯周病 その2

歯並びの悪さが歯周病を招く

 口の中には4000~6000個の細菌が生息するといわれています。ほとんど歯磨きをしない人のそれは1兆個にも及ぶといわれるほどです。口の中に残った食べ物のカスがこれら細菌のエサになっていますから、しっかりとした歯磨きをしないと口内細菌はどんどん増えていき、それが歯の周辺や歯肉に炎症を起こし歯周病となります。

 しっかりと歯磨きをしていたとしても、もし、歯並びが悪かったらどうでしょうか。

 歯並びの悪い方の中には口臭に悩んでいる方がいます。口臭の元となっているのは硫化水素などです。硫化水素などは、食べ物のカスをはじめとして、唾液や血液、古くなった細胞に含まれるたんぱく質を口の中の嫌気性細菌が分解するときに発生します。ここでも食べ物のカスを残していけないことがわかっていただけるでしょう。

 やはり歯並びが悪ければ、しっかりと歯磨きをしたつもりでいても食べ物のカスは残ってしまい、それが口臭となって現れているのです。そこで歯列矯正を希望する方もいます。

 歯並びが悪いと、食べ物のカスが残りやすいわけですから、歯周病も起こりやすくなることは否定できません。

歯周病は万病の元

 歯の周辺の炎症くらいでそこまで注意する必要があるの?と思われるかもしれません。確かに、いったん歯周ポケットができたとしても、歯磨きを励行することでポケットは1、2ミリくらいまで改善します。

 ところが、歯周病はさらなる病気を招く怖い病気なのです。

 まず、歯周病よりも恐ろしい口腔ガンの原因にもなります。糖尿病との関係も見逃せません。まだ詳しい原因はわかっていませんが、糖尿病になると歯周病になりやすいといわれていますし、その逆も心配です。実際、正しい歯磨きをすることで血糖値が改善したという例は数多くあり、糖尿病の治療のひとつとして採用されています。歯周病は今では生活習慣病といっていいでしょう。

 歯周病をもっている人は心臓の手術をするときも注意しなければなりません。手術の際に歯周病の元となる細菌が心臓に入ってしまうことがあるからです。手術の際だけでなく、もし歯の周辺に炎症や傷口があれば、そこから口内細菌が血管内に入り、心臓へと達することもあります。その細菌が心臓の弁膜に付着して増殖すると、細菌性心内膜炎を起こしてしまうのです。日本人の死因の3位になっている肺炎の原因のひとつに口内細菌があるということが判明しました。

 まさに歯周病は万病の元なのです。歯周病でお悩みの方、不安がある方は、一度歯科で検査を受けるのと同時に、歯列矯正を考えてみてはいかがでしょうか。