対象となる年齢
矯正治療はやはりできるだけ早い段階から行うことをお勧めしますが、子どもの歯の矯正治療と一口に言っても、時期によって治療のアプローチや目的が異なります。大きく分けて第1期治療と第2期治療がありますが、第1期は第1大臼歯が生えそろう6、7歳頃(個人差があります)、第2期は永久歯が生えそろう10才以降にあたります。
第2期に入ると、矯正装置は大人と同じようなものを使用できますが、骨格の成長を利用しながら行うという点で大人の矯正とは考え方や注意点が異なります。
一般的に、骨の成長が止まるのは女性が15歳くらい、男性は遅い人で20歳くらいといわれています。ですので、永久歯が生え揃ってから骨の成長が止まるまでが第2期治療となり、10代の後半に治療を行う際には、骨格の成長が続くかどうかを検査してから治療の時期や治療方法を見極めていく必要があります。
6才、7才は「骨格」へのアプローチ
第1期にあたる、6才、7才のお子さんの矯正治療の目的は、「歯」そのものというより、「骨格」へ働きかけることです。歯並びの悪化の原因の多くは歯が並ぶスペースが足りないことにあります。乳歯の時点で骨格へ働きかけることで、骨格の成長を促したり、逆に成長のしすぎを抑えることが可能になります。
また、歯並びの乱れは、悪い癖やアデノイド等の鼻の病気によって引き起こされることがあります。
こうした悪癖や病気は保護者の方も気付きにくいものですが、知らず知らずのうちに歯並びへも悪影響を与えているかもしれないのです。
例えば、口呼吸は、乾燥した空気がダイレクトに喉にあたったり、肺に入ったりしますから、風邪や虫歯になりやすくなりますが、歯並びを乱す原因にもなります。さらには、その口呼吸は鼻の病気から引き起こされている可能性もあり、早期に発見することで、原因となる病気の治療だけでなく、歯並びの悪化も防ぐことができます。
第1期の主な治療
第1期の矯正治療では、大人が使用するような矯正器具は用いません。代わりに拡大プレートといった装置で顎の骨の成長を促したり、口周りの筋肉のトレーニングや舌の位置の改善することで、歯がきれいに生えそろう下地を作っていきます。6才以前の子供でも歯並びやかみ合わせが気になる場合には、矯正歯科へ相談し、歯の成長を定期的に見守ることで、早期に対処することが可能です。
10才以降は成長を利用した矯正治療
永久歯が生えそろう頃には、大人のようなマウスピースやワイヤーを用いた治療が可能になります。ただし、成長の止まった大人の矯正治療とは異なり、成長を考慮した治療が必要になってきます。10才以降では、乱れてしまった歯並びを整列させていくことはもちろん、骨格の成長を見込みつつ、歯とお顔の見た目などのバランスを整えていくことを目的にしています。
子供の矯正治療は成長を利用するため、歯が動きやすく、大人の矯正よりも難易度がずっと低くなる特徴があります。成長を予測できない場合や、癖などが残っている場合には、大人になってから再度矯正治療が必要になる場合もありますが、その場合でも子供のうちに治療を行っているのといないのとでは、治療の手間や規模が異なります。
できるだけ早期に対応することで、抜歯や高度な治療を受けることなく、きれいな歯並びや正しいかみ合わせを手にいれることが可能ですので、お子さまの歯並びが気になっている保護者の方はまずは矯正歯科への相談をお勧めします。