外科的矯正(手術)はどこでするの?

担当は口腔外科

 歯の矯正手術は口腔外科が担当します。口腔外科とは、口の中(口腔)や顎、顔などの病気を扱う診療科です。よって、歯の矯正治療のひとつとなる顎の手術は口腔外科で行なわれます。顎変形症や外傷などの外科的な病気はもちろんのこと、口腔粘膜や唾液に関する内科的な病気に至るまで、さまざまな病気を扱っており、舌がんや歯肉がんなどの悪性腫瘍も例外ではありません。

 一般的に口腔外科は大学病院や総合病院に設けられており、歯の矯正手術もその種の大きな病院で受けるのが普通です。

 手術は全身麻酔で受けますが、口の中にメスを入れるので、顔の皮膚に傷跡が残ることはありません。ただし、顎の骨を切るわけですから、高度なテクニックが必要となります。不正咬合はあるものの、身体的には健康な方がほとんどですが、思わぬ事故が起こる可能性はありますし、常に完璧な結果ができるとは限りません。手術自体にはさまざまなリスクがあります。 矯正に手術はあり?なし?」の項を参照

 術後、数週間は口を開けることはできません。というわけで、しばらくは流動食が続くことになります。これまでは1ヵ月ほどの入院が必要でしたが、今では1週間ほどで退院できるようになりました。

保険適用の有無

 出っ歯や受け口等の不正咬合では一般的に保険は適用されず、自由診療となります。

 一方、先天的な形成異常として上唇や口蓋(口内の上壁)が裂けている患者さまやの場合は、幾つかの障害のリスクのほか、歯の成長や歯列へも影響が現れていることがあります。こうした先天的原因や、国の定める疾患に起因した咬み合わせの異常に対する矯正歯科治療には保険が適用されます。

 ただし、保険診療が認められる場合でも、すべての医療機関で健康保険が適用されるわけではありません。その医療機関が自立支援医療機関・顎口腔機能診断施設の指定を受けていなければなりません。

 自立支援医療機関とは、身体上の障害を軽減し、日常生活を容易にするための治療を受けることができる医療機関のことで、厚生労働省によって指定されます。その中で顎口腔機能に関する指定された機器、専門スタッフが配置された施設が顎口腔機能診断施設に認定されます。