口呼吸の怖さを知っていますか?

11

口呼吸と鼻呼吸

 人は呼吸をしないと生きていけませんが、「呼吸をしなければいけない」とはいつも意識していません。つまり、人は自然に呼吸しているのです。よって、たとえ口呼吸になっていても気がついていない場合も珍しくありません。

 口呼吸とは口から空気を吸ったり吐いたりする呼吸のことです。人間は一般的には鼻で行なう鼻呼吸をするようにできています。まず、鼻の中を見てください。たいていの人は鼻毛が生えているはずです。そして、空気の悪い場所などに行くと鼻をかんだ時に黒いすすやゴミが出ることもあります。

 空気中にはさまざまな物質が飛び交っています。普通の状態では目に見えませんが、窓から陽射しが差し込んできたりしたときに、光の具合によっては浮遊している細かな物質が見えることがあるはずです。それが体内に入らないように、鼻の通り道になっている鼻腔の粘膜と鼻毛が防いでくれるからこそ、鼻の中が汚れるのです。

体を崩す口呼吸

 空気中を浮遊しているのはゴミばかりとはかぎりません。細菌やウイルスも飛び散っています。実は、鼻の粘膜の中には白血球が混じっており、細菌やウイルスが体へ侵入するのを防いでくれているのです。白血球は細菌やウイルスと戦う免疫物質として知られています。鼻水や鼻ごみが黄色になることがありますが、それは白血球と細菌などが戦った後の“死骸”の色なのです。

 もし、鼻腔という “フィルター”を通さない口呼吸をしていると、風邪などの感染病になる危険性は高まります。

 さらに、冬などの寒くて乾燥した季節では、鼻腔を通る間に空気は温められ、湿気を帯びるのです。これも乾燥した冷気による肺や喉への刺激を和らげています。

歯並びの悪さと口呼吸

 口呼吸の大きな原因のひとつが歯並びの悪さです。上顎前突や下顎前突の人はどうしても前歯が前に出るため、口が閉じにくくなってしまいます。また、上下の前歯に隙間のある開咬の人も常に唇が渇いた状態になり、双方とも口呼吸に陥りやすいのです。

 もし、口呼吸になったら、前述のようなリスクがあるだけでなく、睡眠時無呼吸症になるかもしれません。睡眠時無呼吸症は、睡眠中に呼吸が止まってしまい、高血圧や糖尿病、心臓病などの合併症を引き起こす怖い病気です。特に、太っている人や顎の小さな人は気道が塞がれる危険は高く、口呼吸は鼻呼吸よりも気道が狭まりやすいといわれています。口呼吸は百害あって一利なしといえるでしょう。