「よく噛んで食べなさい」
子供のころ、親から「よく噛んで食べなさい」と言われた人も多いことでしょう。よく噛むことで食べ物を細かくして消化を助ける、つまり、胃の負担を軽くするという意味がもちろんあります。「よく噛んで食べなさい」とは、親が子どもを思う気持ちの表れといっていいでしょう。
以前はまだこれくらいしかわかっていませんでしたが、最近、よく噛んで食べることが子どもにとって大切なことがいろいろわかってきました。噛むことは脳の活動に好影響を及ぼすことが判明したのです。
噛むことと脳の活性化
よく噛んで食べるということは、顎の関節がよく動き、周辺の筋肉が刺激され、そこを通っている血液の流れが促進されます。
脳を働かせるためには酸素が欠かせません。「脳の最高司令官」といわれているのが前頭葉です。この働きの優れている人は頭の回転が速いといわれています。脳への血流量が増加し、前頭葉に酸素が大量に送り込まれると、頭の回転が速くなるのです。
また、かみ合わせた時の刺激は歯根膜を通じて脳に伝わり、脳を活性化させます。
認知症の予防
近年では認知症とかみ合わせの間にも関係があることがわかってきました。入れ歯や義歯を含め歯が残っている人にくらべ、歯がないため食事の際によくかむことができない人は認知症のリスクが高まると言われています。
若い頃にかみ合わせが悪いと、虫歯や歯周病にかかりやすいだけでなく、不正咬合の種類によっては特定の歯に負担がかかり、歯を失いやすい傾向にあります。また、かみ合わせに問題があると、入れ歯やインプラントの導入が難しい場合もあるのです。
そのため、いくつになっても歯並びの改善や口腔環境の維持は重要になります。
不安がある方は、早めにクリニックへ相談することをお勧めします。