重要な役割を担っている歯科技工士

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歯科技工士の働きとは

 歯の治療にあたるのは歯科医だけではありません。歯科技工士も大きな役割を担っています。では、歯科技工士とはどのような働きをするのでしょうか。

 歯科治療では、入れ歯(義歯)をはじめとして、刺し歯やワイヤーなどの補綴(ほてつ)物などが用いられます。それらを製作、加工するのが歯科技工士です。いちおう歯科医もこれらを製作することはできますが、高度な精密技術や審美センスが求められるようになってきたことや、歯科医との分業が進んでいるため、歯科技工士の重要度は年々高まっています。歯科技工士のレベルが治療の良し悪しを左右することはいうまでもありません。もちろん、国家資格であり、業務独占資格です。

補綴物の作業工程

 歯の矯正をしたことはなくても、虫歯の治療くらいは経験があるのではないでしょうか。
 虫歯がまだ小さいときは、その部分を削ってインナーと呼ばれる詰め物を補填し、もし、進行していれば、クラウンと呼ばれる被せ物を用います。これらは、銀色のものやセラミック、プラスチックなど、材質は様々です。これらの補綴物の製作も歯科技工士の仕事です。

 補綴物を作る工程は次のようになっています。
 まず、歯型をとらなければなりません。ピンク色の粘土のようなものを噛んで歯型をとったことはありませんか。これを「印象をとる」といい、この粘土状の物質を印象材といいます。できあがった歯型に石膏を流し入れ、石膏模型を作りますが、ここまでは歯科医によって行なわれるのが一般的です。
 そして、そこからが歯科技工士の仕事になります。石膏模型をもとに被せ物を作るのです。それは歯科医院に送られ、治療に使われます。歯型をとってから次の治療まで1週間ほどかかるのはこういう理由があるのです。

歯科医と歯科技工士の連携プレー

 補綴物は治療を左右するとてもデリケートなものですから、作製には高い技術力を必要とします。それだけではなく、歯科医と歯科技工士の関係は密でなければなりません。患者様を直接診ているのは歯科医ですから、歯科医は患者様の歯や症状に関する詳細な指示を歯科技工士に与え、一方、歯科技工士はその立場から歯科医に対して最良かつ適切な助言をすることが重要だからです。

 よって、歯科医院内に歯科技工士が在籍しているか、歯科医院と歯科技工所とが一体になっているか、これらの点も治療を受けるうえで大きな目安となるでしょう。