看板で歯科医院を選んでいいか?

街に歯科医が溢れている昨今では、歯医者さんひとつ選ぶにも悩んでしまうことが多いことでしょう。こちらでは、歯科医が掲げる「看板」つまりは診療内容について話をしていきます。

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アトピー治療が難しい理由

 例えば、あなたがアトピー性皮膚炎に悩んでいたとしましょう。アトピーならば、皮膚科ですし、少し病気に詳しい人ならば、アレルギー科もいいと考えるかもしれません。そこで、看板に皮膚科やアレルギー科のあるクリニックを探すはずです。もし、内科や外科も含まれていれば、「今後、風邪をひいたりケガをしたりしたときなども診てもらえるから都合がいい」と思って、それが決め手となるかもしれません。

 実は、クリニックを開業するとき、看板には自由に診療科目を書けることになっています。皮膚科やアレルギー科を専門としていなくても、たくさんの患者様に来ていただきたいばかりに、あらゆる診療科目を書いているクリニックも少なくありません。訪ねてみると、お医者さんはひとりしかいないということはよくあります。

皮膚科やアレルギー科を専門としていなくても、アトピー治療の基本的なことはご存知でしょうから、「ステロイドの外用薬を処方して終わり」ということもあるようです。それでなくてもアトピーは治療が難しいとされており、皮膚科やアレルギー科を専門としていても、特にアトピーの専門医でなければ、簡単には対応できません。アトピーが治りにくい病気、治ったかのようにみえても再発してしまう病気として多くの患者様を悩ませているのは、正しくお医者さんを選んでいないということもあるのです。

 「看板に偽りあり」とまでは言いませんが、クリニックの看板にはこのような事情があります。

看板の診療科目と専門科目の違い

 歯科医院も同じです。

 最近では、街を歩いていると、歯科医院の看板に「矯正歯科」の文字をよく見つけるようになりました。歯の矯正治療をしている歯科医院は確かに増えています。

 ただし、「矯正専門」ではなく、一般歯科が矯正歯科を掲げている場合には少し注意が必要かもしれません。というのも、日本では歯科医の資格さえもっていれば
その先生は矯正治療を専門的に学んでいるか否かとは関係なく、看板に「矯正治療」をかかげるのは自由だからです。

 「歯」のことだから、歯科医ならば矯正治療もできる、と思ってしまいがちですが、日本の歯科大学のカリキュラム・国家資格取得までの過程に矯正治療の詳しい知識や技術は求められていません。そのため、矯正治療を専門的に行おうと考えている先生は歯科医の資格を取得後に、さらなる修行を積んでいきます。
 近年ではマウスピースタイプの矯正治療など、医師の治療をサポートするようなシステムも登場しており、そのために気軽に矯正治療を始める一般歯科も増えていると聞きますが、矯正治療を行うのであれば、やはり咬合や矯正治療について専門的に学んだ先生に任せた方安心だと言えるでしょう。

 歯の矯正治療は専門医院でなければ、患者様が満足する治療はなかなか難しいものです。様々な診療科目を掲げながら、片手間にできるものではないのです。どの歯科医も矯正歯科に関するある程度の知識はありますが、専門で行っている医師は多くはありません。看板も受診する際のひとつの目安になります。もし、噛み合わせまで考えた歯の矯正を望まれるなら、矯正歯科だけ、もしくは矯正歯科を第一にあげている歯科医院を選んでください。