歯科衛生士とPMTC

 虫歯に悩まされている方は多いことだと思います。その一方で気づいていないものの、歯周病に罹患している患者さんは40歳以上で80%にものぼると言われています。将来も自分の歯を健康に保つため、日々のブラッシングは重要ですが、どんなに頑張ってみがいていても汚れは少しづつ溜まっていきます。
 そこで効果的なのは歯科クリニックが行うプロのクリーニング、「PMTC( Professional Mechanical Tooth Cleaning)」です。ここでは、そのクリーニングを行う歯科衛生士とPMTCクリーニングのご紹介をします。

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歯科衛生士とは

 歯科に欠かせないのはドクターだけでなく、歯科衛生士もいなくてはならない存在です。歯科衛生士は国家資格なので、歯科衛生士になるためには国家試験を受験して合格しなければなりません。主な業務は、歯や歯茎の点検をはじめとして、歯垢や歯石を取ったり、歯に薬を塗ったりする予防処置、正しい歯磨きの仕方などを教える保健指導、歯科医が行なう診療などのサポートをする診察補助の3つに分けられます。

 歯科医院には、受付業務などを行なっている歯科助手を置いているところもありますが、歯科衛生士と歯科助手は同じではありません。歯科助手は特別な資格はありませんし、業務の範囲は歯科衛生士より狭く、歯科衛生士のように患者さまの口の中に触れることもできません。

 今回のテーマである「PMTC」はまさに歯科衛生士の業務です。ただし、PMTCを行う歯科衛生士はPMTCをよく理解して技術を磨く必要があり、クリーニングではドクターよりも技術を持っています。普段の歯磨きでは取りきれない汚れを取るため、特殊な器具や薬剤を用いて私たちの歯をクリーニングするだけでなく、歯磨きのレクチャーや健康的なデンタルライフを送るための示唆をあたえてくれる存在でもあります。

PMTCはどんなことをやるの?

歯の確認・カウンセリング

 まず、磨き残しはないか、虫歯や歯周病はないかなど、歯の状態を見ます。場合によっては、正しい歯磨きの方法を指導することもあります。

 ただし、どれほどしっかりと歯磨きをしても、すべての歯垢を取り除くことはできません。加えて、歯石を取ったり、バイオフィルムをはがしたりすることは容易ではありません。歯周ポケットの中は特に取りにくい部分ですので、そうした部分はクリニックでしっかりと除去していきます。

歯石の除去

 まず、歯垢(プラーク)が唾液中のミネラルと結びついて固まってしまった歯石の除去を行っていきます。同時に、歯周ポケットのバイオフィルムを超音波を利用した器具を使って除去します。

歯の表面を磨く

 超音波の器具で歯垢などを落としただけでは、どうしても歯の表面はザラザラします。このままにしておくと、細菌や歯石が付きやすくなるのです。そこで、歯の表面を磨き、ジェットパウダーを使って仕上げを行っていきます。虫歯や歯周病の予防だけでなく、歯にツヤが出て見た目にもきれいになります。

フッ素コーティングの仕上げ

 歯を磨いた段階で歯の表面はきれいになりますが、さらにフッ素コーティングを行うことで歯を強化させ虫歯等の予防を行うことができます。

 PMTCは基本的に「予防」であるため、自由診療になります。ただし糖尿病などの歯周病に悪影響を及ぼす持病があったり、歯茎の再生手術を受けたりした方には保険の適用も可能です。
 自由診療の場合、値段は10,000円前後が多く、クリーニングだけで高いと感じる方も多いかもしれませんが、歯を失うことになれば、比べ物にならにほどの費用が必要となります。美しく健康な歯を保つためにも、定期的なPMTCを考えてみてはいかがでしょうか?