インプラント矯正が適用される場合

インプラント矯正とは

 インプラント矯正は、一般的なデンタルインプラントとは異なります。よく勘違いされやすいのですが、失った歯の代わりに人工的な歯の土台を作るインプラントと矯正治療用のインプラントは全くの別物です。

 ところで、歯の矯正治療では、ワイヤーや場合によっては歯科医療用の輪ゴムを使って歯に圧をかけます。

 例えば、出っ歯の場合、前歯を奥に移動させるため、奥歯を支点としてワイヤーや輪ゴムを設置します。すると、前歯は奥に動きますが、大きな力をかけすぎると奥歯も引っ張られて前に動いてしまうことがあります。前歯部分と奥歯部分が綱引きをしてどちらも引っ張られてしまうような状態で、矯正治療にとっては望ましくはありません。

 絶対に動かない支点があればいいのですが、それを叶えてくれるのが矯正用のインプラントなのです。

 矯正用のインプラントでは「ミニスクリュー」や「インプラントアンカー」と呼ばれるごく小さな歯科用の「ネジ」を顎の骨に埋め込むことで、絶対に動かない支点を人工的に設置します。

インプラント矯正を利用した治療

gummy_img01

 インプラント矯正用の「ミニスクリュー」はチタンでできたネジです。その小さなネジを矯正治療の際に動くことのない「骨格」部分に埋め込んでいきます。想像すると少し痛そうですが、スクリューを設置する際は麻酔を施し、電動のトルクドライバーで「静かに」「歪みなく」設置を行なうため、施術中の痛みはありません。骨格部分にスクリューが定着するまでには違和感や痛みを感じることもありますが、ワイヤーや輪ゴムの設置はその状態が落ち着いてから行いますので、矯正中にインプラントアンカーが痛むことは通常ありません。

 インプラントアンカーは歯を大きく動かしたい場合や、歯の移動方向を目的に合わせ調整したい場合に適しています。例えば、抜歯を行う出っ歯の矯正治療や、笑ったときに歯茎が見えすぎてしまうガミースマイルの治療に有効です。これらの症状は通常の矯正治療では時間がかかってしまったり、治療が難しかったりしますが、矯正用インプラントを用いることで比較的短い期間で希望の歯並びを手にいれることができます。

治療後のインプラントアンカーは?

 矯正治療のために設置したインプラントアンカー(ミニスクリュー)は、治療終了後には必要なくなるので、撤去します。

 また、みなさん不安になる方が多いのですが、スクリューはごく小さなネジのため、設置のために開いた穴も自然にふさがりますのでご安心ください。