技術を必要とするインビザライン
透明のプラスチックでできたマウスピースを装着して歯を矯正するインビザライン。約10日から2週間で新しいマウスピースに交換して歯を動かしていく治療法です。マウスピースの交換は患者さまでも簡単にできますから、どの歯科医院でも行なっている治療だと思われるかもしれませんが、ワイヤーによる矯正治療と同じくらいか、それ以上に難しい治療といえます。
治療できる症状が限られている
インビザラインなどのマウスピース治療は日々進化しており、さまざまな症状に対応できるようになってきましたが、それでも、かみ合わせが深く関わっている歯並びの矯正など、マウスピースでは治療の難しいものもまだあります。マウスピースのキャパシティを超えた症状を無理に治療しようとすると、患者さまの希望に添えない、などトラブルの元になりかねません。
また、インビザラインではクリニック側で取得した口腔内データを元に、歯の移動についてシミュレーションデータが上がってきます。ただし、このデータのままマウスピース製作を依頼し治療に入るのではなく、このデータを担当のドクターが確認する必要があります。その際に必要になってくるのは、かみ合わせ等の一般の矯正治療に欠かせない知識や経験です。
マウスピースによる矯正治療は、パッケージ商品であるように見え、一見ドクターの負担も少ないように考えられがちですが、一般の矯正治療と同様に検査・検診や治療計画は慎重に行います。だからこそ、マウスピース治療でも、治療を受けるクリニックは慎重に選ぶ必要があると思います。
デジタル機器のサポートでさらに正確な治療を
インビザラインを行なう上でデジタル医療機器は大きな役割を果たします。例えば、患者さまの歯並びを確認する方法としてレントゲンやCTがありますが、これまでは2D、つまり平面上の情報しか得られませんでした。口の中や頭部を前や後ろから撮影した写真しかなかったのです。
ところが、3DCTを使えば、歯並びや口の中、さらには顎までの立体化した映像が得られます。その映像をPCに取り込めば、歯科医のデスクトップで患者さまと一緒に見ることもできますし、わかりやすく説明することも可能です。
また、歯の矯正治療ではしっかりとした計画を立てることが重要とされます。これはマウスピース治療でも同じです。CTによって取得した3Dのデータは治療計画の際に大いに役立ちます。例えば、立体画像ならば、顎の骨の厚みがわかります。これは歯を動かすときの重要な情報となりますから、より正確でより緻密な治療計画を立てることができるわけです。
豊富な知識と経験、高い技術をもつドクターが必要
一方でデジタルデータだけでは十分な治療計画は立てられません。それに加えて、歯科医の豊富な知識や経験が欠かせないのです。
また、歯の矯正治療は長期に及びますから、歯科医はその都度その都度で適切な判断を求められます。それにはやはり歯科医に数多くの経験と高い技術が必要なのです。とはいえ、そういったドクターをどうやって探せばよいのか、悩む患者さまも多いと思います。そのお話についてはまた別の回で触れていきます!